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2025/10/20
助成金 手続き
社会保険の加入対象の拡大と、パートさんの働き方について
社会保険労務士法人企業労務センターでは、パートさんも活躍されています。
また、業務が拡大しているためにパートさんの募集も行っているのですが、改めて社会保険の加入対象の拡大とパートさんの働き方について考えてみました。
目次
④パートさんの働き方と「年収の壁」対策を行う事業主への支援(キャリアアップ助成金)
① 現状の社会保険加入対象者
現状で社会保険に加入しなければならない事業所は、以下の図の通りです。
※法人の事業所であれば、強制加入となります。
※個人の事業所でも、従業員さんが5人以上で強制加入となります。

上記の事業所の従業員さんで、
・従業員さんが50人以下の事業所なら、以下の要件に該当すれば加入しなければならない方です。
ア.正社員
イ.パートタイマー・アルバイト等
(1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上である方)
・従業員さんが50人以上の事業所なら、以下の要件に該当すれば加入しなければならない方です。

★上記の4要件のうち、【月額88,000円以上】の要件は、最低賃金改定に伴い撤廃される予定
② 今後の社会保険加入対象拡大のスケジュール
今回の改正により、企業規模要件を縮小・撤廃し、令和17年10月から短時間労働者が週20時間以上働けば、働く企業の規模にかかわらず、社会保険に加入するようになります。
改正の時期は、10年かけて段階的に縮小・撤廃することとしており、勤め先の規模によって変わります。

・令和9年10月からの企業規模要件:「36人以上50人以下」の事業所
・令和11年10月からの企業規模要件:「21人以上35人以下」の事業所
・令和14年10月からの企業規模要件:「11人以上20人以下」の事業所
・令和17年10月からの企業規模要件:「1人以上10人以下」の事業所(企業規模要件の撤廃)
③ 特例的・時限的に保険料負担を軽減する保険料調整の措置
企業規模要件の引下げ等より新たに社会保険に加入する短時間労働者は社会保険料負担が生じますので、給与が上がらなければ手取り額が減ります。
今般の改正では、事業主負担割合を増やすことで被保険者負担を軽減する措置が設けられました。(就業調整を減らすための保険料調整制度。施行日令和8年10月1日)
※事業主負担は増えないため注目される可能性がありますが、特例が適用されるためには、事業主からの申出が必要です。
※申出から3年間に限って被保険者の負担が軽減されます。
※その他、事業主支援として、キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」があります。
④ パートさんの働き方と「年収の壁」対策を行う事業主への支援(キャリアアップ助成金)
パートさんも、時間的な制限があること多いですが、出来れば、もっと活躍して収入を上げたいと考えている方も多いです。
これをきっかけに、パートさんの戦力化を進めてみてはいかがでしょうか。
そんな時に活用できるのが、キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」です。
「年収の壁」のために、働きたいけど労働時間を押さえるパートさん、もっと働いてほしいのに労働時間を延ばせない会社。そんなジレンマを解消するための助成金です。
双方にとって、メリットがあると思います。
- 「年収の壁」を越えて働き続けたいパートさんなど短時間労働者の収入増を促進。
- 事業主には社会保険適用と人手不足対策を同時に進める機会を提供。
対象となるパートさんは、
ア.社会保険の加入日の6か月前の日以前から継続して雇用され、
イ.社会保険の加入要件を満たさない条件で就業していた者になります。
(もともと、加入要件だったのに、手続き漏れの方は対象となりません)
この助成金を受給するための手続きは、次のとおりとなります。
ア.キャリアアップ計画書の作成・提出
キャリアアップ計画書を作成し、管轄の労働局へ提出します。
この計画書は、対象者が社会保険へ加入する日の前日までに提出しなければなりません。
イ.取り組み(6か月間) ※6カ月継続して雇用されていることは必須。
提出した計画書の内容に沿って対象従業員の社会保険加入をすすめます。
計画と実態が乖離していないことは、大前提です。(形だけではダメという事です)
ウ.支給申請
6か月間の取組完了後、2か月以内に助成金の支給申請をおこないます。
申請時には、賃金台帳や労働契約書、社会保険加入を確認できる書類などが必要です。

この支援制度を活用しながら、パートさんの処遇改善を進めていければ、戦力化になると共に、採用に関しても有利な状態を作れます。(他社との差別化)
パートさんの戦力化と共に生産性も向上することが可能になってきます。
ご興味がございましたら、ぜひ、当社までお問い合わせください。