ブログ

2025/12/5

手続き

健康保険の扶養認定はどう変わる?判定の大きなポイントを解説!

令和8年4月1日より、健康保険の被扶養者認定における「収入基準」の判定方法が大きく変わります。 特にパート・アルバイトとして働くご家族を持つ方にとっては、「収入基準」の判定がより分かりやすくなる重要な改正です。

今回のブログでは、この改正のポイントと、ご家族や事業主様が今から確認すべきことを漏れなく解説します。

まずは、「被扶養者の範囲」と「収入基準」を確認しておきましょう。

被扶養者の範囲

  1. 被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されているいる人※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。
  2. 被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。

  ① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)

  ② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子

  ③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子

  ※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。

被扶養者の収入基準

【認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合】

認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。(状況によって2分の1以上でも認められる場合あり)

  • 認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満
  • 19歳以上23歳未満(配偶者(内縁を含む)を除く)の場合は150万円未満(扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定)

【認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合】

同一世帯の基準、かつ、被保険者からの援助(仕送り等)による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。

年間収入とは

過去の収入のことではなく被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことを言います。

認定日から向こう1年間の収入見込み額で判断します。1月~12月の収入ではありません。

給与、賞与、通勤交通費、各種年金、事業収入、不動産収入など、継続して生じる収入は全て対象で、 税法上の「所得」ではなく、税引前の「総収入額」で判断します。

年間130万円未満の場合、月収は約108,333円(130万円÷12か月)未満が目安です。

ただし、月収が一時的にこの金額を1ヶ月だけ超えても即座に扶養から外れるわけではありませんが、

2ヶ月以上連続で超えると恒常的な収入と判断される可能性があります。

今回の改正の【最重要ポイント】:「実績」から「契約」へ!

これまでは、過去の収入実績や、残業代などの見込みを含めた「今後1年間の収入見込み」で扶養に入れるかどうかを判定していました。

令和8年4月以降の認定では、この判定方法が大きく変わり、「労働契約の内容」に基づいて年間収入を見込むことが原則となります。

新しい年間収入の判定基準(原則)

以下の要件をすべて満たす場合、原則として扶養認定されます。

  1. 労働条件通知書等で定められた賃金から見込まれる年間収入が基準額未満であること。
  2. 給与収入のみであり、年金収入や事業収入などの他の収入が見込まれないこと。
  3. 労働条件通知書など、契約内容を示す書類の提出が可能であること。
変更点従来(~R8.3.31認定まで)改正後(R8.4.1認定以降)
判定の基準過去の収入実績や、残業代を含む
「今後1年間の収入見込み」
労働契約書などで定めた
「所定内賃金に基づく年間収入」
残業代の扱い見込み額に含む
(残業増で、扶養から外れる可能性があり)
契約書等に明確な規定がなければ、
原則として含まない
目  的扶養認定の予見可能性を高め、就業調整の必要性を減らす

被扶養者の認定には、労働条件通知書(雇用契約書)が必要になってきますね。

もし、御社のパートさんが、配偶者の被扶養者になっているのであれば、労働条件通知書(雇用契約書)を交付しておきましょう。

元々、労働基準法第15条で、労働条件は書面による明示が義務付けられています。

4月は進学や就職により、家族の異動が増える時期です。早めに手続きの流れを整理しておきましょう。