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2026/1/16
法改正
労働基準法「40年ぶりの大改正」で変わる現場のルール 1
労働基準関係法制研究会報告書により、労働基準法が「40年ぶりの大改正」が見込まれていますが、厚生労働省が今年の通常国会提出を念頭に置いていた労働基準法改正案について、提出を見送る方針となったようです。高市首相による「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和検討」の指示によるものでしょうね。
改正法案は出ていませんが、「労働基準関係法制研究会報告書(以下、「報告書」)」から考えられるポイントを7つピックアップし、1つずつ解説していきます。
まず、第1回は「法定労働時間週44時間の特例措置の廃止」について
【1】法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
「報告書」P.37より抜粋
| (4)法定労働時間週44時間の特例措置 法定労働時間を週44時間とする特例措置の対象事業場について、87.2%の事業場が この特例措置を使っていない現状に鑑みると、概ねその役割を終えていると考えられる。 現状のより詳細な実態把握とともに、特例措置の撤廃に向けた検討に取り組むべきである。 その際、業種に特徴的な労働時間の実態もあることから、業種による状況の違いを 把握しつつ検討するべきである。 |
厚生労働省の2023年労働時間に関するアンケート結果で、該当する事業所の87.2%が特例を利用していないとの認識ですね。もう役目は終えた、という事になります。
今の制度はどうなっているのか、変わると会社にどんな影響があるのか、詳しく解説していきます。
1.週44時間特例とはどんな制度?
原則として、労働基準法では
- 1日8時間
- 1週40時間
が法定労働時間です。
ただし、昔からの特例として、一部の業種・規模の小さい事業場では「1週44時間までOK」
という特例措置が認められてきました。
対象となる主な事業
- 商業(小売店など)
- 映画・演劇業
- 保健衛生業(個人医院など)
- 接客娯楽業
かつ、常時使用する労働者が10人未満の事業場です。

2.改正により何が変わる可能性がある?
現時点では「即廃止」と決まったわけではありませんが、方向性としては、
- 週44時間特例を撤廃する方向で検討
- 業種ごとの実態を見ながら段階的に整理
という流れです。つまり将来的には、
どの業種・規模であっても、法定労働時間は週40時間に統一
される可能性が高い、ということです。
3.改正による影響
①これまで「44時間」で回していた会社は見直しが必要
もし現在
- 週44時間を前提にシフトを組んでいる
- 44時間までは残業代を払っていない
という場合、制度が廃止されると、
40時間を超えた分はすべて時間外労働(残業)になります。
②人件費が増える可能性
- 残業代の発生
- シフト調整のための人員確保
など、人件費への影響が避けられないケースもあります。
③「知らなかった」では済まされない
法改正後も以前の運用を続けてしまうと、
- 未払い残業代の請求
- 労基署からの是正指導
といったリスクにつながります。
4.経営者が今からできる対策
今すぐ廃止されるわけではありませんが、今から準備しておくことが重要です。
✔ チェックしておきたいポイント
- 自社は「週44時間特例」の対象事業場か?
- 実際の労働時間は何時間か?
- 44時間を前提とした勤務シフトになっていないか?
✔ 今後の方向性
- 労働時間を週40時間基準で設計
- 業務の効率化・ムダの洗い出し
- 必要に応じて就業規則の見直し
まとめ
今回のポイントを一言で言うと、
「使われなくなった週44時間特例は、今後なくなる可能性が高い」
ということです。
多くの会社では影響は限定的ですが、
一部でも44時間前提の運用が残っている場合は要注意です。
「うちは大丈夫かな?」と感じたら、早めにご相談ください。
次回は、「労働基準関係法制研究会報告書」から考えられる7つの改正ポイント
【2】「14日以上の連続勤務」が法律で禁止について解説します。