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2026/2/4
法改正
法定休日の特定 / 労働基準法「40年ぶりの大改正」で変わる現場のルール3
前回に引き続き、「労働基準関係法制研究会報告書(以下、「報告書」)」から考えられる改正のポイントを解説していきますね。
第3回は、【3】法定休日の特定 について
【3】法定休日の特定
「報告書」P.41より抜粋
| (2)―2 法定休日の特定 労働基準法第35条においては、法定休日の特定について定めがない。この点について、実務上は、通達において「具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導」する旨示されている。 前述したように、週休2日制が普及してきている現状では、1週の中に法定休日と所定休日が混在している場合が多い。このとき、いずれの休日が法定休日なのかが不明確である。使用者が就業規則等で法定休日を指定したとしても、それは法律上の規律によるものではないため、司法の判断と異なってしまう場合もありえ、法的な予見可能性に問題があるとの指摘がある。本研究会としても、法定休日は、労働者の健康を確保するための休息であるとともに、労働者の私的生活を尊重し、そのリズムを保つためのものであり、また、法定休日に関する法律関係が当事者間でも明確に認識されるべきであることから、あらかじめ法定休日を特定すべきことを法律上に規定することに取り組むべきと考える。 |
について、今の制度はどうなっているのか、何が変わろうとしているのか、会社はどう対応すべきかを見ていきましょう。
1.現状:毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない
労働基準法第35条では、
「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」
と定められています。
ただし、どの日を「法定休日」とするかについては、法律上は明確な定めがありません。
1週間に「法定休日」と「所定休日」が混ざっている場合は、曜日を指定しなくてもよかったんですね。
そのため、現在は以下のような実務運用が一般的です。
- 就業規則やシフト表で
「日曜日を休日とする」
「休日は会社カレンダーによる」 などと定めている - ただしそれが
「法定休日」なのか「所定休日」なのかが曖昧なケースが多い
特に、
- 週休2日制
- シフト制
- 不定休 の会社では、
「どの休日が法定休日なのか分からない」という状態が珍しくありません。
例えば、月曜日から日曜日までの1週間で、土曜日、日曜日が休日だったとします。
週に少なくとも1日の休日を与える、というのが法定休日です。
そうしますと、土曜日は休んだが日曜日は出勤したらどうなるか?
週の内、土曜日を休んだので、この日が法定休日となります。
この週は、日曜日は所定休日となります。
それがどうしたの?と思われると思います。
その理由を見てみましょう。
2.なぜ問題になるのか?
法定休日かどうかは、割増賃金の計算に直結します。
- 法定休日に働かせた場合
→ 35%以上の休日割増 - 所定休日に働かせた場合
→ 時間外扱い(25%)になることも
ところが、
- 就業規則では「この日が法定休日」と書いている
- しかし、裁判では
「実態から見て別の日が法定休日」
と判断される可能性がある
つまり、
→ 会社の認識と司法判断がズレるリスクがあるのです。
これでは経営者にとって
- どの割増賃金が正しいのか分からない
- 将来、未払い残業代を請求される不安がある
という「法的な予見可能性の低さ」が問題になります。
3.今回の見直し(改正検討)のポイント
今回の研究会報告では、次の点が強調されています。
- 法定休日は
- 労働者の健康を守るための休息
- 私生活のリズムを守るための重要な制度
- だからこそ
「どの日が法定休日なのかを、事前に明確にすべき」 - 通達レベルではなく
法律上、法定休日の特定を義務づける方向で検討すべき
つまり、
「会社があらかじめ、法定休日を特定しておくことを法律として明確に位置づけよう」
という流れです。
4.もし法改正されたら、どう変わる?
想定される変化は、以下のとおりです。
✔ 就業規則の重要性がさらに高まる
- 法定休日を「〇曜日」または「〇週の〇日」
など、明確に特定する必要が出てくる - 「休日は会社カレンダーによる」だけでは不十分になる可能性
✔ 割増賃金計算が明確になる
- どの日が法定休日か明確
→ 休日労働の割増率で迷わない
→ 未払い残業代リスクが下がる
✔ シフト制・週休2日制の会社は要注意
- 「毎週どの日が法定休日になるのか」
- 「週によって変える場合、どう特定するか」
といった点を、制度として整理する必要が出てきます。
5.中小企業の経営者が今から意識すべきこと
改正前でも、実務上は次の対応がおすすめです。
- 就業規則
「法定休日は〇曜日とする」もしくは「〇週に1日を法定休日とする」
と明記しているか確認
- 週休2日制の場合
「法定休日」と「所定休日」を区別して説明できるか - シフト制の場合
法定休日の考え方を社内で統一しているか
まとめ
法定休日の特定は、「従業員のため」でもあり「会社を守るため」でもあります。
今回の見直しは、「経営者にとって分かりにくかった休日ルールを分かりやすくする方向」
とも言えます。
今後の法改正を見据えて、休日の定義を一度、整理しておくことが重要ですね。
次回は
「労働基準関係法制研究会報告書」から考えられる7つの改正ポイント
【4】勤務間インターバルについて解説します。